憧れるものを見つけたとき、人間は
2008.04.12
14:40:24

わたしは、父親との血のつながりに驚いたことが2度ほどあった
それは父から送られて来る手紙が、あるときを境に突然、全部筆字になったこと
実は、わたしもそのころから、なぜか筆字に興味を持ち始め
なんとなく、色々と書いてみていたころだった
連絡を取り合って、始めたわけでもないことを二人が偶然に始めている
こんなことが、別にもあり
血のつながりは、すごいなと思ったわけである
とりあえずこれはまぁ、どちらでもいい話である
その父と同じ頃、奇しくも興味を持った筆字だが
書や書道などというものは、小学校の習字の時間しかやったことがなく
達筆系の字など書けるわけもなく、また自分の書きたい字とは違っていた
そんな色々模索していた時、あるデパートで 「相田みつを」展というのを
たまたま、見てしまった
その「相田みつを」氏の書く筆字に、全身に電気が走るような衝撃をうけたのである
作品にへばり付き、なめるようにとは、このことというくらい
徹底的に観察した
なぜこんな書き方で書いたのか、あんまり字が上手ではないんだろうか
しかし、何ともいえない温かみのある、伝えたい言葉と見事にマッチした
なんとも味わいのある、一文字、一文字だろう
きっと相田氏も、試作に試作をかさね、このスタイルに行き着いたのだと思った
作品集を買い、モチベーションが最高潮に達していたわたしは
さっそく真似て書いてみるが、まったく思うようにならなかった
筆が違うのか、持ち方に秘密があるのかなどと
色々やってみるも、すべて思うように書けず
筆先を切ってみたり、毛筆ではないオリジナルな筆を作ったりもしたが、どうも違う
でも、何度もなんども書いてるうちに、字面的にはほんの少し似てきた
しかし、字のバランスも、勢いもまったく感じられない、単に変な文字というだけ
なにより、書いていて気持ちがよくないのである
そんなことを1年ぐらい続けていた時、 「はっと思った」
相田氏の手と、私の手は違うんだ
無理に同じように書かなくても、自分は自分の字でオリジナルを書こうと
それからは、気持ちが楽になり自分らしさの、追及になった
振り返って今、考えてみると
人間って、憧れるものを見つけたときに
すごい、エネルギーがでるもんだなぁって、つくづく思った
気がついたら、本当に集中して一心に書いていた
どこから出るのか、自分でもそのエネルギーに驚いた
筆字を始めるよりも、もっと前、人生で初めて
真似てもいいから、こんな絵を描いてみたいという人の
作品に出会っている
相田氏は、実は二人目だった
人生で、こんなに強烈に憧れるものに出会えるということは
幸せとしかいいようがない、それも2度までも
いや、今後まだまだあるかもしれない
そんなに、幸せがわたしにばかり来てもいいものか
などと、考えている幸せなわたしである

学生時代の同級生のインタビュー記事をネットで見つけて
それを、なつかしく読んでいたら、彼のインタビューの記事に
「憧れるものを見つけたとき、人間はすごいエネルギーがでるんですよ」
と言っていた、それを読んで 「ああ、おれもそんな経験があるなぁ」 と思ったのである
陶芸家としての彼の才能はすばらしく
一度 『山田 和」で検索するといくつか彼の作品が出てくるのでみてほしい
この対談集も見ていただきたい
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